2009年04月25日

(回想)万引き事件(1)

2009年4月25日
この日の事は永遠に忘れる事ができません。

その日は土曜日で、私も主人も仕事は休み。
長男Aは特別な授業があるからと学校へ出掛け、
次男も何処かへ遊びに行っていました。

私は主人とゆっくりソファに座り、テレビを見ていたと思います。

ちょっとウトウトしていた時、私は1本の電話に起こされました。

見覚えのない電話番号。

それは警察からの物でした。

Aくんが都内の某店で万引きをしました。
現在、B警察署で保護しているので引き取りに来て下さい。



電話を受ける私の様子がただならぬように見えたのでしょう。
主人が私を見ています。

私は、すぐに行きますが急いでも1時間半はかかります。
と警察に言って受話器を置きました。

Aが万引きをしたと言う駅は、Aが通っている学校の
最寄りの駅ではなく、自宅と学校の通学範囲の沿線でも
ありませんでした。

Aが、なぜその駅までわざわざ行ったのか。
わざわざ万引きをしに行ったのか。
それは今だに解りません。

とにかく、今、解っていることは

Aは学校に行くと親に嘘をつき、弁当まで作らせ、
1人で行ったことのないような駅でわざわざ降り、
そして、物を盗んだ。


と言う事だけです。

1人で電車で行くつもりでいましたが、主人が車を出す
と言うので乗せて貰って一緒に出掛けました。

次男には
「兄が学校で具合悪くなったので迎えに行く」
とメールしました。

弟のショックを考えたら、本当の事は言えませんでした。


車に乗ると、主人が言いました。

「ついにやったか」

私も同じ気持ちでした。

「ついに・・・」



「まさか家の子が」

と思うのが普通の親と言うものなのでしょう。

つまり、情けない事にAには下地が充分あったと言う事です。


時刻は夕方近かったのですが、天気がやたらと良くて・・・
明るい春の日差しは、私たち夫婦の心に不似合いなまぶしさで
車に差し込んでくるのでした。



※この記事は2010年6月に書いた回想記事です。
回想部分はここから過去の日付でUPしていく予定です。



              

posted by わかば at 23:03| Comment(0) | 警察沙汰 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月26日

(回想)万引き事件(2)

高速が意外と空いていて、警察署には思っていたより
遙かに早く着きました。

バスに乗って、電車を乗り換えて・・・
とやっていたら家から1時間半は掛かる予定だったので
車で行った事は正解だったようです。

これが土曜日で、主人が休みの日で本当に良かった・・・


受付で事情を説明すると、受付の婦警さんが
立ち上がって案内して下さいました。
その様子は、何だか奇異な目で見られているように感じられました。
万引き犯の親なわけですから仕方ないのでしょう。

私たち夫婦は、本当に今まで普通・・・と思われる人生を生きてきて、
警察のご厄介になどなった事は無く、警察署に行く事など
運転免許の書き換えくらいしか考えられなかったのです。

しかし、今、犯罪者の身元引受人として、ここにいる。
人生、本当に何があるか解らないものです。


Aがいずれ警察のご厄介になるかも知れない・・・
と思っていたと前に書きましたが、それでも
「そんな事になるはずがない」と言う祈りに似たような
甘い気持ちで今まで過ごしてきました。

なぜ、そんな風に思っていたかというと、世間的にはこれが
初犯だとしても、私たち家族にとってはすでに家中では
Aは犯罪者のようなものだったからです。

後に書くつもりでいますが、高校に入った頃から
家では家族の財布から金が無くなると言う事件が
何度も繰り返されていました。
その金額は、もうかなりの額に上っていました。

私の財布や夫のバッグや弟の財布からさえも金を取る。
詰問すると挙動不審な見え見えの態度ですっとぼける。
嘘がばれると神妙な顔をして謝る。
この繰り返しを、もう何年も私たちは体験させられていたのです。

それを、ついに家の外でやってしまった・・・

私たちにとって、これは絶望に近い出来事でした。


婦警さんに案内されてエレベーターを上がると
少年課に連れて行かれました。

見ると、廊下にまで刑事さんがたくさんいて・・・
何やら大騒ぎになっていました。

おずおずと近付いていく私たちに一斉に注目が集まります。

万引き犯が1人捕まると、こんな大騒ぎになる物なのかしら・・・

名前を言うと「待ってました」とばかりに部屋の中に
招き入れられました。


人がいっぱい集まっているわけでした。

取調室の中では大変な事が起きていたのでした。


※この記事は2010年6月に書いた回想記事です。
回想部分はここから過去の日付でUPしていく予定です。


                  

posted by わかば at 04:24| Comment(0) | 警察沙汰 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月27日

(回想)万引き事件(3)

取り調べの部屋に入ると、

「あ、お母さんが来た、お母さんが来た」


と刑事さんが待ちかねていたように中に私たちを招き入れます。
中で刑事さんたちの「おい!」「おい!」と言う声が聞こえました。

Aはパイプ椅子に座らされていましたが、その座り方は異常でした。

ダランと手を下に垂らし、首だけが仰向けに真上を向いていました。
目は半開きの状態で、睫毛がビクビクと震えています。

「さっき、急に椅子から意識を無くしたように崩れ落ちて
床に倒れたんです。」


と刑事さんが仰いました。

私は「A、A!起きなさい!」と頬を叩きながら呼びかけました。

しかし、Aの身体はぴくりとも動きません。
ただ瞼だけがピクピクと動いているだけです。

「椅子から落ちた時に頭を打ったみたいなので、救急車を呼びました」

と、刑事さんも困惑しているようでした。

何度もAの名前を呼びながら、私はだんだんと可笑しくなってきました。

これは、芝居に違いない・・・

その時、私はそう思っていました。
芝居じゃないとすれば、何と気の小さい男なんだろう。

「どうして、こんな事に・・・?」
「いや、さっき、お母さんを呼んだよと言ったら急に倒れてこうなったんです。」

ああ・・・
そうだろうよ。

この子にとっては、たぶん、何よりも私に知れるのが恐かった事でしょう。
店の人に怒られるよりも、警察に補導されるよりも、
たぶん私に知られる事が一番の恐怖だったに違いない。

その恐怖心で耐えられなくなって気絶したのか・・・

机の上にはカードが山積みになっていました。
子供がよく集めているポケモンや遊戯王のカードのような・・・
あれのもっと「オタク系」な感じのカード。

「盗んだものってこれですか?」

この手のカードは中が見えないように袋に入っているものですが、
Aは、これを盗んでは物陰に隠れて袋を開け、袋を捨てると言う行為を
短時間に何度も繰り返していたようです。

たぶん、一つ盗んではバレていない事を確認し、また盗んでは
陰で開けて・・・
その様子は、ビデオ映像を見せてもらわなくても
目に見えるようでした。

家で私たちの財布から金を抜いた事がバレた時のような
あんな挙動不審な態度に違いない。

しかも、こんなカードなんか・・・

一袋いくらなのかは解りませんが、盗んだ総額は五千円ほどになるそうです。
やっている事が異常です。

この子は頭がおかしいのかも知れない。

私は本気でそう思いました。


やがて救急車が来て、Aは警察署から運ばれていきました。
当然、その日の事情徴収は終わり。
後日、警察から連絡が来たら、また続きの取り調べをする
と言う事で、私たち夫婦は救急車を追って運ばれた病院に
付いていきました。


子供が警察に捕まって引き取りに行く。
子供が救急車で運ばれる。

私は、この日、人生初の体験を一度に2回も味わったのでした。



※この記事は2010年7月に書いた回想記事です。
回想部分はここから過去の日付でUPしていく予定です。


                  

posted by わかば at 00:00| Comment(0) | 警察沙汰 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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